ケータイ業界、パンドラの箱
と大げさなタイトルですが、金曜のこのニュースは日本や海外のケータイ事情を知るものにとっては、ある意味かなりショッキングだったと思うのですが。
警視庁、SIMロック解除のボーダフォン端末販売業者を逮捕
ケータイWatch 2006/8/25
なにが。
っての前に、自分はSIMロックを解除したケータイを持っている訳でないし、奨励すべき気持ちもないことを宣言しておこう。
ただただ、全ての携帯をSIMロックせざるを得ない日本のケータイ事情に憂いがあるのですよ。
さて。
これについてのニュースをいろいろ見ましたが、まず多くのニュースの『SIM』または『SIMロック』の説明のいいかげんなこと。
『SIM
ロック』解除を"不正"に改造、販売
したというニュースなのだからこそ、そこの説明があやふやではなんとも歯がゆい。公正さを持って報道しようとすればもう少しなんとかなると思うのだけど、
警察の発表を丸呑みにして"SIMロックハズシ=悪、つまり逮捕"なんて分かりやすいニュースに仕立てあげてるのが憤ってしまう。
(なんとなくあの『Winny』のときの報道を思い出しました。
『Winny』は悪だという恐ろしい固定観念を日本国民に植え付けましたよね。)
別にグローバルではどうとか言わなくてもいいから、『SIMロック』が日本のキャリアの特殊性であって(もちろん海外にも存在するし)、『SIMロック』は別に法律で守られてるわけでもなんでもないんだからというところをもちっと。
そしてその『SIMロック』を『解除は不正』と恐れ多くも報道してしまっている点。
この日本でいや多分世界で民生機器においてリバースエン
ジニアリング(というか改造)が法に触れるということはまずないだろう。(特殊な先端機器や保守点検を含む形で売買や使用契約が結ばれてるなどの場合は別
だけど)一般ユーザーがモノ買うときに"秘密保持契約書"にサインするわけはないよね。(あってたまるか!^^)
買ったものは自分のもの。メーカー保証は受けられないけど、"バラす"ことだって、"メーカーの都合で使えなくなってる機能を復活させる"ことだって自由なはずだ。
つ
まりは『SIMロックをはずす』という行為はユーザーレベルで行っても法律的にはなんのおとがめもなしなはず。いやもっと言えば、『SIMロックがはずせ
る』ケータイというのは、たいていの場合、海外では『SIMロックなし』の状態でも買えるってことで、日本のユーザーは大変な不利益を日本のキャリアのせい
で被ってるとも言える。
もし『改造した』ことによって生じる問題があるとすれば、例えば通信機器は認可がいるから使っちゃいけないかもしれないし、今回の件でなら、ボーダフォンのU-SIMを入れたときに回線契約に抵触するかもしれない。
しかしこれらは使用者責任であって、『SIMロック解除が不正行為』とするのとは全く意味が違うものだ。
つまりは個人の自由な行為もしくはそれを提供するサービスに警察が介入してるってことだ。自作PCやクルマのチューニングに警察が介入する時代を許せるだろうか。
で、なぜ警察が動いたかってことだけども、ニュースによると
『ボーダフォンでは、SIMロックを解除した端末が流通し、被害を受けているこ
とを事前に警視庁へ相談していたという。同社では、不正改造による端末の販売について、「ビジネスモデルをくつがえされた」とコメント。今回のような、端
末を大量に購入し、即解約してSIMロックを解除・販売する手法によって、一カ月に数億円の被害が出ていると見られる。』
とある。
口あんぐりです。ボーダフォンが、というか日本のキャリアが勝手に作ったルールの隙をついた商売(これを擁護するつもりはないのですが)に警察を介入させるとは。隙というか、これは日本の携帯販売事業のほころびであり、『月に数億の被害額』というのも、企業が勝手に言ってる『ビジネスモデル』とやらのリスクマネージメントの下手さの結果であって、それを被害というのかという憤り。
そしてそれに納得して介入する警察。
で何の罪の疑いかと言うと
- 商標法違反
- 不正競争防止法違反
- ついでに著作権法違反も考えている
らしい。
1.は改造したものを『ボーダフォン』の商標で売ってるってことが問題なのでしょうか?
小さい。SIMロック解除となんの関係もないし。ケータイのカバーをカスタマイズしてもドコモはドコモなんだから。
2.は基本的には模倣行為やただ乗り商売を禁じてる法律だ。1で保護しきれないものを面倒見てくれる便利な法律だ。そのなかにちょっと毛色の違う項目もある。
『技術管理体制の保護(コピープロテクションの回避装置の提供を禁止)』とかある。これか?
ただし保護されるべきものはコンテンツであって、この場合、著作物は何か?ってことだ。
3.は?
まあ、自分なんかは法律家でもなんでもないんで、あーだ、こーだ言ってもしょうがないのですが。ボーダフォンにも弁護士の先生いるだろうし、警察も検察もバカじゃあないでしょうが、なんか法を当てはめるのが精一杯ってなカンジは拭えません。
こんなに書いて何が言いたいかというと、なんか気持ち悪いのだ。
まずニュース的に『SIMロックあるのが善』みたいな風潮にあるのが厭だ。
逮捕された社長が違法かどうかなんかどうでもいい(いやそんなことはないが)。
『SIMロック』のアリ、ナシについては、以下のドコモの社長が言うように悪でもなんでもなく、単なるビジネスモデルの形であって、明日には『ロックなし』が売られてる可能性だってあるわけだ。
『なんだかそろそろ日本も解禁?』ってなムードにに水挿すこの微妙なトーン。。
おまけにSoftbankになって、グローバル化が好きなどっかの社長がSIMロックのことを憂いてるのかと思ったら、当のボダ主導でこんな事件だもんな。
(もしかしたら逆の見方もあるのか?)
ITmediaより引用
SIMロックを外した端末の販売には、良い面と悪い面がある
販売関連経費を大きく下げるには、インセンティブモデルをやめ、SIMロックを外した、どこのキャリアのネットワークでもつながる端末を売るとい
う方法もある。これに対して中村社長は「SIMロックを外した端末を販売するとなれば、ビジネスモデルは激変する。(インセンティブによって端末の販売価
格を安く抑えた)こういう状況に慣れている日本のお客様に対して、SIMロックを外した端末を5万円で売って、果たして買っていただけるものなのか。たと
えば“何年使うならこの価格で売る”というヨーロッパ方式など、さまざまな方法を検討することになるのだろうが、そうはいっても非常に複雑な問題」と話し
た。ユーザーに対する価格の問題だけではなく、端末メーカーに対してもビジネスモデルが大きく変わると危惧する。「これまで日本のキャリアは、端末に
対して深く関与してきた。(SIMロックを外した端末を販売するということになれば)ネットワークでアドレス帳を預かるサービスや、ネットワークを介した
遠隔ロック機能などのような取り組みができなくなってしまうかもしれない。端末側とネットワーク側とでどう役割を受け持つか、今後はさらにその分担が複雑
に緊密になっていくだろう。そういう問題をどう整理するかがはっきりしない状態で、簡単に切り離すわけにはいかないのではないか。良い面と悪い面と、2つ
ある」(中村氏)
次に機器を改造して売っていることに"いちゃもん"つける警察ってのも厭。
大企業や政府が認めたものしか売っちゃ駄目ってこと?
未来世紀ブラジル的管理社会?!
耐震偽装問題のときにも思ったけど、なんでもかんでも政府の責任だ!とか言ってるといい未来こないよ。ってのは話が飛びすぎか。
ケータイの自由競争化&グローバル化、それに機器の自作や改造と自分の昨今の拠り所をかなりかすったので、こんなに書いてしまった。
この販売業者が違法かどうかを議論するつもりはないので。
『禁酒法時代の飲酒』みたいなもんで時代が変われば見方も変わるし。
この親父の『SIMロック反対!』みたいな意思は応援するし。
だいたいここの親父が儲けたのも、それだけの需要があった(ユーザーがいた)からだし。
そして規制されすぎた暗〜い未来は見たくないなー。と。
金出して買ったものぐらい自由に使わせて下さい。
最後にニュース画像がビデオで見れるリンク(二つとも同じソース)
<速報>SIMロック解除、初摘発@日本
シムロック不正改造で初摘発、男ら逮捕
日本の携帯電話が海外でも自由に使えるよう、携帯電話の「シムロック」と呼ばれるプログラムを不正に改造し、販売していたとして、警視庁は東京の携帯電話販売会社の社長ら4人を逮捕しました。シムロック改造での摘発は全国で初めてですが、この改造携帯電話の販売で、ボーダフォンの被害額は月4億円に上るということです。
「死ぬまで命かけて戦うから。「SIMロック」解除、ユーザーの権利ですよ。違法じゃない」(陸錫齢容疑者)<TBS News-i>…
日本のケータイ市場が特殊
日本のケータイ市場が特殊だと思います。
0円でケータイが買えることは、正常でしょうか、
共感してくれる人がいるって事
ブログを始めて良かったと思う事は私と同じように悩んでる人、私と言う人間を知ろうとしてくれる人に本当にちっぽけで、何も出来ない私でも知ってもらえる価値がある、生きてる意味がある、そう思える瞬間がある事・・・・