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夏の疑惑 [DJI Zenmuse X5R]

素敵映像うんぬんかんぬんはさておいちゃって、まず確かめるはX5Rにまつわる都市伝説。

『専用ソフトを使用しないとSSD内の撮影画像のコピーも確認も出来ない。専用ソフトでのエクスポートにはこれまた膨大な時間が必要』というやつ。

前半部はこれはもう疑いようもない事実。
PC に専用リーダーを繋げてSSDをマウントしてもSSDの中のRAW収録された部分は一切見れず。もちろんコピーも出来ず。最初聞いた時はなんじゃそりゃ!と思ったさ。

X5R_lgnd_01
Mac用とWindows用にそれぞれDJI謹製ソフトがリリースされてて、これらを使わないと撮影画像は一切手に入らず。イケズ。

 

専用ソフト使用ってのは理解をしてあげたとして、自分的にどうにも気になってそわそわしてるのがメディアからの”コピー時間”。旅に持ち出して宿に帰ってバックアップのために夜寝れないなんてちょっとどうなの。
国内のメジャーなとこで書かれたX5Rの記事というと、AV Watchのあの人のビデオSALONのこの辺の記事。買う前は情報少なく信じるしかなかったのだけど、結構怪しいこと書いてあったりして。例えば、、

“ただし変換には大変なCPUパワーが必要だ。2.6GHzデュアルコアIntel Core i5程度のマシンでは、15秒のファイルを書き出すのに2~3時間かかる。本来ならばMacProなどで作業するようなシロモノなので、今回はCinemaDNGで収録した動画サンプルの掲載は、数カットのみとさせて頂く。” AV Watch 小寺信良の週刊 Electric Zooma!

15秒分の映像データコピーに2、3時間!!??
一体どんなことになってんの。

別の記事

“気になる書き出し時間は、CPUが2.7GHz 12コア(30MB L3キャッシュ)、メモリが64GB、GPUがデュアルAMD FirePro D700のフルカスタムのMac Proに、ストレージはThunderbolt接続のプロミスPegasus R4を使った場合、476GBのデータ量の変換で約1時間かかった” ビデオSALON.Web

こっちはもうちょっとまともなことが書いてある。
512GBのメディアに40分ほどの収録が出来て、それの書き出しに1時間だとか。

ただ続けて、

“撮影現場で使うようなノートパソコンであればDNG変換に3~4時間は見ておいたほうがいいであろう。現場でDNG変換をかけながらバックアップを取ることは時間的に見て現実的ではないため、複数のメディアを用意して、SSDを交換しながら撮影するスタイルがX5R運用の基本になる” ビデオSALON.Web

Mac ProでそうだからノートPCだと3、4倍??って、そ、その根拠はどこからくるんですか!?

 

実験の前に自分的リマインダー。
映像が何秒だろうが何時間分だろうが、512GBは512GB。
トランスコードに余分に時間がかかったとしても圧縮するわけじゃないのでデータコピー時間としてのベースは変わらない。もし仮に1GB/sで転送できたら512GBは512秒で終わるけど、みんな普通に使ってるデジカメのUHS-Iって規格なら最速メディアでも1時間半以上はかかるのが512GBという量。

MacProで1時間かかった!って書いてあるの見て、うわ!そんなかかるのかよ!と脊髄反射しちゃったけど、よくよく考えてみたら150MB/sぐらい出てるわけでUSB使ってのデータコピーとしてみればむしろまあまあ早いんじゃんと。なんだか記事読んだ方としては”専用ソフトでしか書き出せない”仕様との相乗効果で結構なインパクトだったんだけど、なんか至って普通じゃんと。

 

そんな前置きしつつの自分テスト。
512GB一本丸々は時間もかかるので(何パターンか試したいので)、半分で。
(512GBのSSD内でRAW収録に使える部分が476GB。今回は18:26:96ぶん / 245.64GBのデータで書き出し実験)

まずは4 GHz Core i7のiMac(32GB)で、USB接続のSAMSUNG T1に書き出し。
(参考:SAMSUNG T1はWrite 367MB/s READ 424MB/s)

途中のモニタリングでは150〜180MB/sで推移。

X5R_lgnd_06

結果は29分46秒で完了。

X5R_lgnd_imc_06
倍なら約1時間。
ってことはビデオSALONのMac Proでの結果とほぼ同様。おまけにこっちはThunderboltのRAIDなんて飛び道具なしで、単にUSB3.0なSSDコピーの結果。

ここでの結論:MacPro+Thunderbolt RAIDでも iMac+USB3.0でも結果はほぼ同じ

 

今度はビデオSALONでのテストと同じく、トランスコード先をThunderbolt RAID(Write 820MB/s)に変更してトライ。
結果はおお!21分!

X5R_lgnd_imc2_08
なんと一気に2/3に短縮!倍で42分なのでMacProの1時間に対してかなり早い。

ここでの結論:MacPro+Thunderbolt RAIDよりも iMac+Thunderbolt RAIDの方が速い

てっきり出口側はもうサチってて、リーダー側のスピードとトランスコードのためのCPU性能がキモだと思ってたのに意外な結果が出ちゃった。

 

 

次は最初と同じコピー先がSAMSUNG T1のセットをCore i5のMacBook Pro Retina 13でテスト。

結果は32分10秒
(画面キャプチャが早すぎた。残り時間は全くアテにならない)

X5R_lgnd_mbp_07

うお、MacPro+TB RAIDとそんな変わらんじゃん!

ここでの結論:”ノートパソコンで3〜4時間かかる”ってのは全くのデタラメ 

 

ただ少なくとも少し遅くなったのはCPUに負荷がかかった証拠か。トランスコードのせい?

 

最後はMacBook ProにThunderbolt RAIDを繋げてテスト。
ここまでの結果を元に推理すると23〜24分ってとこになるはず。

結果は23分33秒

X5R_lgnd_mbp_09

素晴らしい。パチパチ!
いやしかし、MacProより早いってことになっちゃうなあ。。

 

4つのテストの結果をまとめると

  • 書き出し時間にはコピー先メディアの性能が大きく関係
  • DJI Cinelightのトランスコードは多分シングルコア(12Core 2.7GHz MacPro  vs  4Core 4GHz iMacの結果から推察)
  • とにかく肝心なのはCPUよりディスクスピード!

 

蛇足ながら、DJIリーダーに挿した状態でのDJI MAGのスピードも計測。
もちろんRAWが格納されたパーティション内は見れないのでソフトウエアが格納してあるFAT領域で。

X5R_lgnd_10

Read: 340MB/sと遅くはないもののSAMSUNG T1がMacでのUSB接続で400MB/sオーバー出してるの見るとちょっと切ない。多分SSDの性能としては相当高いもの使ってるはずなのに。(そうじゃなかったらDJIの値付けにちょっと怒り)

 

テストではさらにCoreMとかの結果も知りたかったけど、残念なことにMacBookはポートが一つしかなくUSBハブ必須。ハブ使っての行って来いな結果は同等には扱えないので却下。(実際やってみたけどスループットは3~40MB/sしか出てないようで途中で断念)

 

AV Watchの言う「15秒のファイルを書き出すのに2~3時間」は前後の文脈からしてグレーディングしちゃったものを(もしくはさらにApple ProResに変換オプションつきで)エクスポートした時間だと推察。プロなんだから切り分けて記述してください!

 

そんなわけで専用メディアから専用メディアリーダでしか読み込めないDJI RAWシステムなれど、普通のノートMacでも実収録時間x1.5ぐらいでCinemaDNGシーケンスが得られるのだから、REDさんとかのワークフローから見たら目くじら立てちゃいかんとは思った。思ったけど、SHOGUNとかの汎用SSDにProResダイレクト録画に慣れきってるとやっぱ愚痴も言いたくなるよね、、ってどっちなんだ!

 

DJI Cinelightで書き出せるデータ形式は他にも以下のような

X5R_lgnd_07

実験は続く
(エントリーはしないだろうけど)

2 Comments

  1. おお、すごい検証!
    この記事名前出して英語で書いてマネタイズ(DJIからのry)したら家が建つんじゃ。

    • 仁太郎さん!すごいかどうかはアレだけど、家建つぐらいいけると思ってくれるなら、よろしくです!>英訳、DJIへの売り込み 
      取り分5割で!

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